【受難節第5主日礼拝】 2008年3月9日(日)午前10時半
第一コリントによる説教「目を覚ましていなさい」 牧師 佐藤誠司
聖書:詩編90編1〜17節・第一コリント16章1〜24節
1年に渡って読み次いできた第一コリントも今回が最終回です。長い手紙であったわけです。パウロはこの長い手紙をどうやって終わらせていることでしょうか。最後を見てください。
「マラナ・タ(主よ、来てください)。主イエスの恵みが、あなたがたと共にあるように。わたしの愛が、キリスト・イエスにおいてあなたがた一同と共にあるように。」
これが締め括りの言葉です。私たちは普通、手紙の締めくくりには挨拶を書きますが、パウロはどうでしょう? 確かに挨拶にも見えるのです。しかし、これはもはや挨拶を超えている。切なる祈りをパウロは手紙の最後の最後に書いたのです。マラナ・タ。これは初代教会の人々が聖餐の席で交わした言葉です。パウロはこの手紙を聖餐の言葉で締め括りたかったのです。どうしてか? パウロはこれまで、じつに様々なことを書いてきました。コリント教会の礼拝の秩序を正し、人々の教会生活、信仰生活に助言を与え、教え諭してきたのです。しかし、今、そういうものを一つの言葉にするならば、やはり、これだと言うのです。マラナ・タ。主よ、来てください。聖餐のたびに祈りとして唱えられたこの言葉は、初代教会の人々の自己認識を反映しています。初代教会の人々は週の初めに聖餐に与りつつ、旅人としての自己を深く認識していたのです。いったいどこへと旅するのか? 神の御前です。教会は神の御前へ立ち帰って行く旅人なのです。そう思うと、この手紙の最後でパウロがコリント教会の人々に事細かに語っている勧告は、ことごとく「旅支度を整えなさい」という勧めであることが解ります。エルサレム教会への献金が勧められています。これもパウロが基礎を据えた異邦人教会が揃ってエルサレム教会に連なり、諸教会が一つとなって旅路を行くためですし、5節からは具体的な旅の予定が記されています。パウロにとって時は縮まっているのです。そしてパウロは言います。
「目を覚ましていなさい。信仰に基づいてしっかり立ちなさい。雄々しく強く生きなさい。何事も愛をもって行いなさい。」
あなたがたの中で何事が起こるにせよ、それらすべてが愛の中で起こるようにしなさい。教会で起こることいっさいを愛の中で生じさせよ。パウロが言うのは、そういうことです。そのために、とパウロは続けます。そのために、信仰に基づいてしっかり立ちなさい。恵みに対して目を覚ましていなさい。信仰に踏みとどまるのです。それは主の食卓に踏みとどまることです。「マラナ・タ。主よ、来てください」と心から願いつつ、目覚めて踏みとどまるのです。「マラナ・タ、主よ、来てください」という言葉と「目を覚ましていなさい」という言葉は結び付いています。主イエスがお語りになった「十人の乙女」の譬え(マタイ福音書25章1節以下)の賢い乙女たちのように、目を覚まして花婿の到来を待つのです。花婿とは終末時のキリストです。教会はこの賢い乙女のように、主キリストの到来を目覚めて待つ。キリストの花嫁となるために待つのです。これが今という時を旅する教会の姿です。だからパウロは最後にこう言うのです。
「マラナ・タ(主よ、来てください)。主イエスの恵みが、あなたがたと共にあるように。わたしの愛が、キリスト・イエスにおいてあなたがた一同と共にあるように。」



【予告】
○次週の主日礼拝 3月16日(日)午前10時半 受難節第6主日(棕櫚の主日)礼拝
 ルカ福音書による説教「キリストは十字架につけられ」 牧師 佐藤誠司
 聖書:イザヤ書53章1〜12節・ルカ福音書23章32〜43節

○次週からルカ福音書による説教が始まります。棕櫚の主日に十字架の物語を読み、イースター礼拝でエマオの物語を読んでから、第1章に戻ります。十字架と復活から福音書に入るわけです。


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