【聖霊降臨節第1主日―聖霊降臨祭礼拝】 2008年5月11日(日)午前10時半
ルカ福音書による説教「飼い葉桶の王」 牧師 佐藤誠司
聖書:イザヤ書9章1〜6節・ルカによる福音書2章1〜7節
今日はイースターから数えて50日目、ペンテコステ(聖霊降臨祭)の礼拝を迎えました。この日に与えられた聖書の箇所はルカ福音書2章が語るクリスマスの物語です。ペンテコステにクリスマスの物語とはいかにも不似合いだと思われるかも知れません。しかし、いずれも誕生を語る物語です。今の私たちに至る命の誕生を語る。方や主イエスの誕生を、方や主の体なる教会の誕生を語るのです。いずれも今の私たちの命をも包み込んでしまうほどの、大きな、天からの命の誕生を語っているのです。
しかし、その大きな、天からの命は、なんと小さな所に生まれてくださったことでしょうか。主イエスはベツレヘムの町の馬小屋に生まれてくださったのです。でも、どうしてガリラヤのナザレに住むマリアがベツレヘムまで行かねばならなかったのか? とても身重の女性が旅する距離ではありません。婚約者のヨセフがマリアを伴ったのです。一時は婚約解消まで考えたヨセフがマリアを伴ってベツレヘムに旅立った。これはマリアを妻とするため、夫婦となるためであったと思います。皇帝アウグストゥスから全領土の住民に登録をせよとの勅令が出て、ヨセフもこれに従ったのです。ヨセフはダビデ家の血筋で、ダビデの町と呼ばれたベツレヘムに財産権があった。もちろん名ばかりの権利ではありますが、ローマ皇帝アウグストゥスは人頭税取立てのためにユダヤの人々の誇りであるこの財産権に注目したのです。こうしてアウグストゥスの権威に振り回されるようにして彼らの旅は始まりました。
でもどうしてルカは、主イエスの誕生がアウグストゥスの時代であったことを明記するのでしょうか? じつはこのアウグストゥスは名君として知られ、人々は彼をたたえて「救い主」と呼び、彼の在世中、長く平和が続いたことから「平和の君」とも呼ばれて、彼の存在そのものが「福音」と呼ばれたのです。そのアウグストゥスの時代に主イエスはお生まれになったのだとルカは語るのです。それによってまことの王とはどなたか、まことの救い主、平和の君はどなたなのか、まことの福音とは何なのかを私たちに向かって問うているのです。
さて、ベツレヘムの町は登録のために帰って来た人々でごった返しています。当然、宿という宿は満員で、ヨセフは仕方なく馬小屋に妻を導き入れます。マリアはここで約束の子を出産するのです。ルカは語ります。
「宿屋には彼らの泊まる場所がなかったからである。」
彼らとは、ヨセフとマリア、そして主イエスです。これが最初のクリスマスの夜。主イエスは宿る場所もなく馬小屋でお生まれになり、身を横たえる床もなく、飼い葉桶に寝かされました。場所が無いのです。しかし、あなたはどうなのか、とルカは問う。あなたの心、あなたの生き方、あなたの家に、主イエスを迎え入れる場所はあるのか? あなたの救い主、あなたの平和の君とはどなたか? あなたにとって福音とは何なのか? 私たちはこの問いかけに喜びをもって答えたいのです。主イエスこそ救い主、平和の君、人々と分かち合うべき喜びの知らせ(福音)である、と。今週も主の恵みと平和が豊かにありますよう祈ります。



【予告】
○次週の主日礼拝 5月18日(日)午前10時半 聖霊降臨節第2主日
 ルカ福音書による説教「喜びのおとずれを見る」 牧師 佐藤誠司
 聖書:イザヤ書11章1〜5節・ルカ福音書2章8〜20節


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